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老犬介護日記 命の灯火が尽きるまで

Solが回復の兆しにあると判断を誤り、仕事へ行った。
帰宅すると、それはまるで地獄絵図のような光景が広がっていた。

いつものように仕事から帰宅すると、寝床は綺麗なままだが、Solの気配がない。
急いでお風呂場を覗くと、車椅子で入浴できるように作られた介護施設にあるお風呂場よりも広いお風呂場の1/3が擦ったような血の跡、1/3がおびただしいドス黒い下痢、1/3が通常の便と大量の下痢。

そして排水溝(Solの体の長さほどある)にSolが横たわり、体は冷たく痙攣し、足はまるで枯れ枝のように硬直し宙をさしていた。

血の気が引くも、息はある。
どうにかなると信じ、布団にくるみ、車で3分足らずの場所にある動物病院に駆け込む。

「すみません、大変申し訳ありませんが、死にかけています。看て頂けないでしょうか。」

治療中でしたが、看て頂く事ができました。

状況説明、彼の今までの現状を話すと、
・どこの病院にかかっているか
・なぜそこの病院に行かないのか
・どうして宗像に引っ越しているにもかかわらず、宗像の病院に変わらないのか
と質問される。

なぜこんなくだらない質問をするのか。

目の前に瀕死の状態で横たわる命があるにも関わらず。

キー局のテレビ番組にも出たことがある病院と、後から聞いた。
何の因果なのか、番組名を聞くと、私が東京にいた時に関わっていた番組であった。

怒りを押し殺し、くだらない質問に答えた。
それでも不思議そうな顔をし、治療が進みそうにもないため、
「もしも私が先生の病院にずっと通っていて、車で60分足らずのところに引っ越したとしても、新しい病院を探すよりも、ずっと診て頂いている先生の所に連れてきますし、たった60分の所なのに、先生のところから急にいなくなるなんて薄情ではありませんか。」
と伝えると、やっと理解していただけたようだった。

私は
・延命しなくて良い
・彼が痛みを極力感じないようにしたい
と伝える。

も、

先生の治療は
・皮下輸液
・ビタミン投与
・炎症を抑えるためにステロイド投与

「痛みはないと思う、意識が混濁している状況」
「もう長くないと思う」

画像を見て頂くとわかるように、手も足も擦り切れている。
そして動かすと顔を苦痛に歪める。

話すも痛み止め等の処方はしてくれそうにない。

「洗ってあげたいけれど何かあっては困る」
「暖かくして」
と言われるので、

「それは理解できます(敢えてここで「理解」という言葉を意図的に使用するも、彼には理解していただけなかったようだ)。もし何かあっては先生の責任になりかねないと思われるのはごもっともですので、帰宅して私が洗います。お心遣いありがとうございます。」
と伝える。

しかしながら、帰宅してからどのようにすれば良いかの指示などは全くない。
年の頃は40前後だろうか。

すぐに布団にくるみ、僕の体温で少しでも温めようとした。

「暖かくして」と言われたが、会計が終わるまでに15分近く待たされた。
その間に二人患者さんが来られた。

なかなか面白かったのが、
2人の猫を連れた患者さんに、奥様であろうか、受付時に
「以前かかったことありますか?」
と尋ねていたが、2人ともムッとした表情で「あります」と答えていた。

会計が終わって。
「ご親切に有り難うございました。」と心にもないが、頭を下げた。

獣医師からは一言もなかった。

Solを抱え両手が塞がっているが、手動の重い扉を誰も開けてくれはしなかった。
Solが少しでも痛くないように、扉を開けようとしたが、
片手にならざるを得ず、Solが痛みに震えた声を発する。

獣医師は「痛みはない」と言っていたが、やはりそんなことはなかった。

動物病院の職員は3-4人居ただろう、お客さんも二人居た。
誰も手を差し伸べてくれる人は居なかった。

僕の業なのかもしれない。
彼をこんな姿にした自分自身に腹が立つ。

帰宅してすぐに柔らかいマットを引き、その上にタオルを敷き、シャワーをかけながら声を掛けて必死に温めた。
体温が上がり、Solの鼓動が安定し始める。

便と血まみれの体がやっと綺麗になり、体温も戻った。

ドライヤーで乾かし、一眠りした後のSolの姿がすぐ上の画像です。

なぜその後、ほかの病院に連れて行かなかったか、疑問になる方がいらっしゃると思います。
帰宅後、Solを19年前に迎えたときにお世話になっていた知人の先生に電話をして指示を仰ぎ、
Solが最後の時を迎えるまでの方向性を決めたので、もう病院に連れては行きませんでした。

体を乾かして直ぐに痛み止めを飲ましたところ、落ち着いたのか綺麗な寝顔になりました。

その日もシリンジで水分を含ませながら、次の日を迎えました。
シリンジで飲ませるも、どうしても水がこぼれてしまうので、
ペットシーツを敷いていました。

朝まで落ち着いていました。

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